季節はもう春なんですね～

冬の間も　南の島のように暖かく過ごしてきた僕にはあまり実感がなかった。
＊　＊　＊

ふぁ～っと　辺りが急に明るくなって　冷たい風が背中をかすめる。
僕の南の島での生活は　夢が覚めるように消えていった。

なんで　もう片付けちゃうのよ～　コタツを・・・。
春になったって　ぼくらネコ族には　まだまだ冬なのよぉ～

僕は　残された温もりを逃がすまいと　体を丸くした。
また　すぅーと　冷たい風が背中の上を通過していった。
うぅ～寒っ！
＊　＊　＊

数メートル先に　希望の光が見えた。
それは　春の光でできた陽だまりであった。
そこまで行けば　きっとぬくぬくできるに違いない。
しかし、そこまでの道中が寒い。
まだ　この温かさの余韻が残っているうちは動きたくない。
そして　少しでも暖かさも感じるように　僕は目をつぶった。

いつ移動を開始するかが問題だ！
あの陽だまりまで移動すると　いったいどのくらい冷えるか？？
移動時間(t)＝距離(L)/初速度(s0)-(摩擦係数(a)×体重(m))
とすると
損失熱量(e) = 熱係数(g)×移動時間(t)
を　微分してぇ・・・・・・。だから　移動開始は今から○分後がベストという解を得た。
だんだん体が冷えてくるが　まだなんとか暖かさと感じることができる。
まだ大丈夫かなぁ？
それにしてもコタツの中って　いい処だったなぁ～
・・・・・・
と目をつぶって、いろいろ頭の中で考えを巡らせていた。

だいぶ冷えてきた・・・・いよいよ移動しないと我慢できなくなる～
いよいよだな。
・・・と　思って　目を開けた。

な、なんと　陽だまりは　もう数メートル先の縁側にはすでになく時間とともに、
ずーと先の庭の先のほうまでに移動していた。

もう　庭先まで移動する気力は残っていないよ。
あぁぁ～　早く移動しておけばよかった。
あの時　移動しておけば　後は少しの移動で済んだのにぃ！
もうぉ～　どうすればいいの？

桜が満開だぁ～　花見だぁ～　なんだって　僕らネコ族は　まだ寒いんだよー！　
コタツを戻してくれぃぃぃ！

・・・・毎年　繰り返される僕の切ない思い・・・
 いつになったらわかってもらえるんだろう。