Be:14 Otenba chan
- カテゴリ:自作小説
- 2010/03/31 16:58:44
僕とガントはどちらからともなく、灯りの下に移動した。
「シニアタウン、行かねえか?」
ガントが言った。
「僕あんま他の街知らないんだけど、どんな場所?」
「年配の人が集まってる街だ」
「なんでそんな場所?」
「安全だ」
「そこで、これが終わるまでかくまって貰うのか?」
「まさか。そういうのは大っ嫌いだ」
「僕もだ」
「はは、言うと思ったぜ。そこで鍛えるんだ」
「お前がさっき言ってた衝撃吸収とかってやつをつけるためか」
「それだけじゃない。ああいうのを補助って皆、呼ぶんだけど、
他にもたくさん種類がある」
「例えば」
「足につけられる瞬間加速ブースター、新資源を使った緩和材入りの防具、
軽くて丈夫な盾とかな、武器も種類が豊富だ。ただ、火器と護身具はないんだ」
「政府が運営してたりして…」
「噂はある」
呆れて、僕が露骨に嫌な顔をして見せる。
と、ここでお腹が鳴った。
「飯は?」
「そういえば、昨日の朝以降食べてないかも」
「どっかで食っていくか」
「そうだね。とりあえず行き先はシニアタウンで目的は、鍛えるため、でいいな」
「おう」
「…愛香も参加するのか?」
「あのままじゃあの子が嫌な思いをする。誰も自分が荷物になってるって思いたくない」
「それもそうだ」
「なーんかあたしのこと、言った?」
愛香が戻って来る。
「よう、チビ」
ガントが振り向いて絆創膏を渡す。ありがとう、と礼を言うと、愛香はさっそく
渡された絆創膏をひざにつけた。
立ち上がって僕の方を見ながら言う。
「ガントからしたら大地だってチビだもん」
「お前、それはな…」
呆れて物が言えないとはこのことだ。
すると愛香が僕の背に回る。
「おんぶ!」
まぁ、いいかと思ってしゃがんでやる。
「お前、甘やかすなよ」
ガントから注意が飛んで来る。
「でも…、怪我したばっかだし」
「ねえ~」
愛香がおてんばに変わりつつあった…。とても悲しいことである。