Nicotto Town



Be:14 Otenba chan

僕とガントはどちらからともなく、灯りの下に移動した。

「シニアタウン、行かねえか?」
ガントが言った。

「僕あんま他の街知らないんだけど、どんな場所?」

「年配の人が集まってる街だ」

「なんでそんな場所?」

「安全だ」

「そこで、これが終わるまでかくまって貰うのか?」

「まさか。そういうのは大っ嫌いだ」

「僕もだ」

「はは、言うと思ったぜ。そこで鍛えるんだ」

「お前がさっき言ってた衝撃吸収とかってやつをつけるためか」

「それだけじゃない。ああいうのを補助って皆、呼ぶんだけど、
他にもたくさん種類がある」

「例えば」

「足につけられる瞬間加速ブースター、新資源を使った緩和材入りの防具、
軽くて丈夫な盾とかな、武器も種類が豊富だ。ただ、火器と護身具はないんだ」

「政府が運営してたりして…」

「噂はある」

呆れて、僕が露骨に嫌な顔をして見せる。
と、ここでお腹が鳴った。

「飯は?」

「そういえば、昨日の朝以降食べてないかも」

「どっかで食っていくか」

「そうだね。とりあえず行き先はシニアタウンで目的は、鍛えるため、でいいな」

「おう」

「…愛香も参加するのか?」

「あのままじゃあの子が嫌な思いをする。誰も自分が荷物になってるって思いたくない」

「それもそうだ」

「なーんかあたしのこと、言った?」
愛香が戻って来る。

「よう、チビ」
ガントが振り向いて絆創膏を渡す。ありがとう、と礼を言うと、愛香はさっそく
渡された絆創膏をひざにつけた。

立ち上がって僕の方を見ながら言う。
「ガントからしたら大地だってチビだもん」

「お前、それはな…」
呆れて物が言えないとはこのことだ。

すると愛香が僕の背に回る。
「おんぶ!」

まぁ、いいかと思ってしゃがんでやる。

「お前、甘やかすなよ」
ガントから注意が飛んで来る。

「でも…、怪我したばっかだし」
「ねえ~」

愛香がおてんばに変わりつつあった…。とても悲しいことである。




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