初夢の続きは (4) 『歌声』
- カテゴリ:自作小説
- 2010/03/26 01:03:18
気が付くと、優の姿はどこにも見当たらなかった。
悟は、仕方なく体育館前へ向かった。
そこには、新しいクラス割が張り出されているはずだからだ。
Aクラスから、目を走らせていく…。
最後に、見知った名前を見つけた。
「ナベはAか」
Bクラスには僕と梅子、Cには松梨の名前があった。
なんだかんだで、4人はバラバラになってしまった。
それでも、梅子とは離れられない。
(前世からの因縁だったりしてな)
のんきにそんなことを、考えていると後ろから声を掛けられた。
「おはよう!悟」
振り返ると、梅子と松梨が立っていた。
「おぅ、2人とも早いな」
「早いのはアンタでしょ? こんな時間に登校してるなんて雪でも降るんじゃないかしら? ねえ松梨」
梅子が松梨に同意を求めると、松梨は静かに頷いた。
「松梨まで…」
B組に自分と悟の名前を見つけると、すこし不満げに梅子は呟いた。
「…なんでまた悟と一緒なのよ」
そして松梨は、少し悲しそうな表情を見せた。
その時、一陣の風が吹きぬけた。
桜の花びらを巻き込んだ風は、強く、けれども冬のそれとは違い、心地よい風だった。
悟は、なんとなくこの風に、覚えがあった。
(なんだろう?この懐かしい感じ)
けれど、思い出すことは出来なかった。
悟は、松梨、梅子と一緒に、階段を上がる。
2年の教室は2階だった。
悟は、Bクラスの前で、松梨と別れ、梅子と、ともに中へ入った。
まだ人影は、まばらであったが、時間とともにそれも埋まっていった。
かったるい式は終わりHRが始まった。
前に座っていた2人が、担任に言われ進行役を頼まれた。
ひょろっとした眼鏡の男がまず自己紹介をした。
「暦村竹文です。よろしく」
次に、大人しそうな女が、くぐもったような小さな声で
「深城桃香です」
と続いて、小さく会釈をした。
それを見て、担任が口を開く。、
「まずはクラス委員を決めてもらおうかしら? 立候補が望ましいけど、推薦でも良いわよ」
いままで、静まり返っていた教室がにわかにざわつきはじめる。
だが、無論名乗り出ようなどと言う奴はいない。
暦村委員長顔だし、お前がそのまま委員長で行けよ。
そんな空気さえ漂い始める。
遅々として進まない人選に、横で見ていた担任が、痺れを切らして口を開いた
「う~ん 今、決まらないのなら、放課後に決まるまで残ってもらうけど、それでもいいのかしら?」
居残りなど、誰一人望んではいない。一刻も早く会議を進めようと、ようやく本気で考え始めたのだが…。
(誰が、好き好んでそんなメンドイ事やるんだよ)
悟が思わず、頭を抱えた時、シンとした教室に梅子の声が響いた。
「私、やります」
途端に、クラスのあちこちから、歓声が上がる。
「他に、立候補する方いませんか?」
暦村は、一応、お約束のセリフを吐いた。
無論、そんな奇特な方が居ないのは、当人が一番心得ているところだろう。
「では、篠田さんを委員長に決定します」
暦村の合図と共に、深城は黒板に、「委員長:篠田梅子」と書き出した。
「次に、副委員長ですが…」と暦村が言い出すと
「委員長が女子だから、副は男子ね」
と担任が口を挟んだ。
一斉に、下を向く、男子生徒…。悟も例外では無かった。
一時の沈黙が支配する。
沈黙を突き破ったのは、他ならぬ梅子であった。
梅子は、スッと手を上げ
「間宮悟君を推薦します」
と発言した。
一斉に男子生徒から、拍手が沸いた。
「おいおい」
悟は、形ばかりの抵抗を試みたが、無論焼け石に水だった。
放課後、慣れない、副委員長業務でぐったりと机に突っ伏している悟の耳へ、外から優しい歌声が聞こえてきた。
声のするほうへ目をやると、見知った姿があった。
「なんだ松梨か」
彼女はコーラス部だったな。こんな時間までご苦労なことだ。
そんなことを思いながら、しばらくその歌声に耳を傾けていた。
確かに、美しく、優しい…天使のような歌声。なのに涙が満ち溢れているような悲しさを内包しているような、ひどく儚い感じもした。
歌声に反応するかのように脳裏に浮かぶ映像のイメージ。
それは、セピア色の石段だった。
(なんだ!今のは?)
悟は、必死に思い出そうとした。
けれど、まったく思い出すことが出来なかった。
脳が、思い出すことを拒絶しているかのような感覚。
そのデータへのアクセスは拒否されているのかもしれない。
そんな錯覚へと陥った。
また夢? 断じてそうではない。そんな曖昧なものではない。
あの風景を、あの風の匂いを僕は知っている。
焦燥、混乱…
様々なモノが入り混じり悟を支配していった。
だが不思議なことに、精神の混乱は急速に収束していった。
それは、優しい声が悟へと囁き掛けてきたからだった。
「夢の隠し場所は …の中」
意識が途切れる寸前に聞いたのは、そんな言葉だった。
夢の隠し場所はいったい? 何故悟は不思議な夢をみるのか?
あの風景は一体?全ての謎を抱えたまま物語は続きます。
たしかにねw悟君の運命はいかに??
続きは、近いうちに掲載予定です。楽しみにしていてください。
鳥肌って!? そこまで楽しんでもらえて光栄です。
次回もがんばらないとですね~
1からよんでいただけたのでしょうか?次はがんばって書きます!
どうぞお楽しみに~
全ての謎の鍵を握っているのは、実は梅子なのです。
さて、どうなっていくのか?次回は梅子のお話になるよていです。
ワクワクの次回につなげられれば、いいのですが~
がんばって書きますね。
続きを楽しみにしてます☆
男子がみんな下を向く光景、あるあるある!
夢の隠し場所が気になりますね。
次作が気になる終わり方ですので、UPされるの待っていますよ!
こういいうことありますよね~
この文章読んだらなぜか鳥肌が立って涙が出てきた。。。(ノ◇≦。)
続きが気になりますね 0><0
是非続きを書いてください!!!
また拝見させていただきますので♪
後半は、イロイロな想像を掻き立ててくれますね~!
予想外の展開がきちゃったりします?
時折、出てくる懐かしい想いが、どうなっていくのかも楽しみですね~。