八百万の死にざま
- カテゴリ:小説/詩
- 2010/02/15 22:39:39
ローレンス・ブロックの著作。この方は大変多作ですが、この本は彼の人気シリーズの一つ。1982発表と、もう18年前の作品です。
主人公はマット・スカダーと言う、元ニューヨーク市警のの警官。
かつて強盗に発砲した弾丸がそれ、七歳の少女を死なせてしまい、彼は警察を辞め、自責の念からアルコール中毒(アルコホリック)になり、そして離婚。2人の息子は妻が引き取り、マットはニューヨークでホテルに住まいをしています。
八百万の死にざまは、このシリーズの数巻出たところの作品。
私は・・に始まる第一人称視点の独白形式で書かれています。
マットはアルコール急性中毒で数日前、退院したところ。いつも立ち寄る酒場で、売春婦のキムから、ヒモの黒人、チャンスと手を切りたい、仲介をして欲しいと持ちかけられます。
このチャンスと言う男、慎重で温厚で理知的、そして紳士的という、あまりヒモらしくないヒモ。
マットの話を聞き、チャンスはキムの件をあっさり承諾したのですが、その数日後、キムが惨殺死体となって発見されます。数日の禁酒をしていたマットは、このショックから再び飲酒を始め、数日の記憶をなくし、病院のベッドで目覚めます。
退院してきたマットに、チャンスは真犯人を探して欲しいと持ちかけます。はじめ断ろうと考えていたマットですが、顔なじみの場所を訪れるたび、記憶をなくした数日間、それらの全てに彼は飲酒した状態で訪れていたらしく、そのことに彼は深い恥と、何をしてしまったかという強い不安を覚えます。
かくして彼は、チャンスの依頼に応じ、調査を始めます。
このシリーズ、ハードボイルド・ミステリーと呼ばれています。
けれど、 「八百万の死にざま」 はいわゆるかっこよさというよ り、人間臭さとか、脆さ、弱さだとか、そういった心理面が良く描き込まれている作品と思います。
この作品はシリーズ節目とも言うべき作で、主人公が、己がアルコール中毒患者であると自覚し始めており、AA(Alcoholics Anonymous/無名のア ルコール中毒者たちの意 アメリカで始まったアルコール依存脱却のための相互援助の集まりで、自助グループ。全世界にあります)の集会に毎日のように足を運んでいます。
けれど毎回彼は語る決心がつかず、皆の話を聞くだけで、自分は毎回名乗るだけで、話はパス。
すごいなと思ったのはアルコール摂取への言い訳をしつつ呑んでしまう、アルコホリックの心の動き。飲酒衝動についてもきちんと書かれているところ。
キムの死でショックを受けたとき、再度マットは飲み始めるのですが、最初はお酒は一日2杯だけにしよう、と決めます。
その一杯に注ぐ酒の量を増やす様、数日たって、自分は飲酒量をコントロールできているじゃないかと思い、さらにもう自分は酒に呑まれやしないさ、と、好きに飲んだってもう大丈夫。と、酒場に足を運び・・・・・・そして唐突に数日後病院のベッドで目覚めるのです。
飲酒してAA集会に足を運んでいたらしいと知ったときの後ろめたさや罪悪感。行きつけの店で、うちではもう酒は君には売れないと言われたほどの、「何か」をしてしまったらしい自分への不安。
人の強さより、心の弱さを、きちんと描き込んだ作品だなあと思います。
作品の最後で、彼はやっとのことで、AA集会でアルコホリックであることを告白しています。
2010年は大変お世話になりました,
あとちょっとで年越しです* うさぎ年ですね,
2011年もご迷惑をお掛けするとは思いますがよろしくおねがいします,
来年.2011年が フランカーさん にとって素敵な一年になることを願っています (◡‿◡♡)
関係のないことですがここに失礼します
ブログにコメントありがとうございます
素顔を見せるのは確かに軽い気持ちでやっていました
注意していただいたことでどんなに危険なことだったかということがわかりました。
ダイエットでは自分の考え方が間違っていたのかもしれません。
ダイエットや無理な食事制限はしないで適度な運動などにしたいと思います
本当にありがとうございます
あたしもほとんどといっていいくらいお酒飲まないのよー。
アルコールに逃げると、ほぼ確実にアルコール中毒を招くからねえ。
あたしも見苦しい酒飲みは嫌いだー。
何飲もうとしても美味しいと思ったことないしなぁw。。。
ことあるごとに、アルコールに逃げられたらなぁ・・・とも
思ったりするけど、そうするには、あまりにも 見苦しい酒飲みを
周囲に見て来たので、やっぱり酒苦手人間でいいやw。
このシリーズはやや重めですけど、しっかり書き込まれてて好きです。
アルコールは気づかないうちに・・・なので、気をつけて。
>日月さん
ほんっとキケンだから。(専門病院内に行きつけの婦人科があるので、行くたび患者さんを見ます)
気をつけなされ。
>ぺたさん
おお、お持ちでしたか。初回から多分、ミステリアスプレスのほうじゃなく、赤表紙のほうですね。
あたしはほら、何度も読みますもの。この16年でこれも何回読んだかww
年数がたてば、一回読みだと忘れますよ~。
バーニイのほうは、がらっと作風が違ってて、底抜けに明るいですよね。こちらも読みましたです。
ハヤカワの今は亡きミステリアスプレス文庫で最初出たんだっけ?(記憶違い??)
背表紙がオレンジ色だったような気がする。
でも印象深かったから題名を覚えているのに、肝心のストーリーが思い出せない。
捨てた覚えはないので、家のどこかに仕舞われている筈。
泥棒バーニーシリーズも読んでるのに、同じく忘れてるw
読みますが、このシリーズも面白そうですね。機会があっ
たら読んでみたいと思います。
自分も以前、毎日の様に昼間から酒を飲んでた時期があ
ったのですが、今はほとんど飲みません。
当時は自分でもアル中なんじゃないかと思ってたんだけど
アル中ではなかったみたいです・・・・・・www。