親族に美人が多いのにオイラは違うぜ、ヤッホゥ……orz　なんて話をした後に語ることではないけれど。

最近、経済評論家の森永卓郎氏がTVでこんな意味のことを言っていた。
「少子化対策のかけ声が大きいが、そも若い人たちの未婚率が高い。だから子どもも増えようがない」
ここまではいい。本当だ。
「女の人が敬遠するブ男には結婚の機会がないので、イケメン税の導入を」
いや、低賃金や労働環境などで若者が結婚どころじゃない社会状況をなんとかすべき、というのをジョークにまぶして言っているのはわかるのだけど。

でもヤメレ。信じるバカがいるから。

ネットの海を見渡すと「顔が原因でモテない」「女はイケメンばかり追いかける」と主張する「モテない」ことを自称する男性が多数いるのだ。

いやそれ、顔じゃないから。
顔のせいにして問題から目を反らそうとしてるよね?

本当のところ、顔のせいで避けられる、までの人間って多くない。

吉本のブサイク芸人ランキングで殿堂入りしているフットボールアワーの岩尾望が、顔を洗うとキムタクになる、という洗顔料のCMに、
「穏やかで面白い岩尾さんが、俺様なキムタクになってしまうなんて、最悪!」
みたいな意見をネット上で結構見た（キムタクもファンが喜ぶよう仕事用にキャラロールしてるのだろうし、あまり言ってやるな、と思うけど）。

小学校来の親友は、顔が気に入らないと嫌がらせをされていた。
（表立ってやるのは男子が多く、で、それに何言ってやがると文句言ったわたしも標的になった。おかげで彼女と親しくなる機会を得たけどね）
本当に、真実性格のいい子で、大学頃から独り身時には友人が「異性として見て欲しい」と立候補するので彼氏には困らなかった（失恋直後でそんな気になれないけど、悪いところもない相手を断るのは失礼だろうか、と相談されたこともある）
容姿に因縁つけられても、世を拗ねなかったし、あらゆることに努力していた。
小学生にウケの悪い、可愛いタイプじゃなかった彼女は、今や「格好いい」「ハンサムな」という形容が似合う女性になっている。

蟹は自分の殻にあわせて穴を掘る。
自分がブ男だからモテない、と主張する男性たちは、実は自分が容姿だけで他者を判断するからこそ、他人も同じと考えているんじゃないの?

『もてない男―恋愛論を超えて』で小谷野敦は、自分にアプーロチしてきた女性もいた旨書いていたけど、自分を「もてない男」と定義している。
判断基準が容姿か否かはともかく、自分の思い通りの女が寄ってこないから「もてない」と、不満がるって何様なんだろう?
この人の場合は容姿のせいと思っているかは定かじゃないけど、「売れなかった」と愚痴ってる最初に出版した本を、購入し、気に入っていたのが嫌になるような俺様ぶりだった。

容姿のためにもてない、と主張する男性の発言には、この小谷野氏同様のずうずうしさを感じることが多い。
恋人（それも自分が求める容姿・その他条件を満たす）ができるのが当然で、それが欠けた状況の自分は不当な目にあっている、と考えているようにも思える。

冴えない容姿じゃ確かに不利かも知れないけど、それは第一印象までのことだろう（ってか、そうであって欲しい、わたし的にもw）

世の中恋をしたい人ばかりじゃなし、好きになったって相手にも意志がある以上そうそう上手くいかない、フられたり、モメたり、行き違ったり、両思いなんて幸運の部類、そうそうない。
その上手くいかないことがすべて容姿のせいなんて、顔以外にどんだけ自信を持ってるんだろう?

自他共に認めるメンクイだった母方のイトコは、野球漫画ならキャッチャー、戦隊物ならイエロー、みたいなタイプの男性と結婚した。
なんか意外……と周囲は反応したが、本人は
「莫迦じゃないんだから、一緒に生きる人を顔で選ぶわけない!」
そりゃそうだ、外見も内面もひっくるめた全部でその人だ。

美人を三日見ると飽きるというのは嘘だが（飽きるかどうかは中身による）、美人もブスも三日見れば慣れる。
ぶっちゃけ、心を寄り添わせる相手を、容姿だけで選ぶ人間は多くない。

もてないのは、顔のせいにして本当の原因から目を反らす、その心根のせいじゃない?