くおんの森 2巻 そして不思議の図書館
- カテゴリ:マンガ
- 2010/01/21 23:59:24
釣回和作『くおんの森』2巻、読みました。
ところでこの題名表記、本当はちょっと違っている。
作品の題名に使われている字も、作品中で主人公が迷い込む場所の名前も、「森」の「木」の字が全部「本」なのだ。
「本」三つの「森」、森羅万象の記録をもつ場所、あらゆる本が眠る場所。不思議の図書館。
この設定だけでワクワクする人もいるだろうw
いちど読んだ本は忘れない少年が、文字を食べる生き物〈紙魚〉にとりつかれ、この「森」(本が三つ、ね)に迷い込む。
語られるのは本や記録、物語についてのオハナシ。
ファンタスティックで、好きな人にはたまらないタイプの作品だ。
1巻目、ちょっと欲張ってしまった感じで、やや読みづらいところもあったが、
絵は細やかなまま2巻で随分こなれた感じ。
個人的に、辞書の話と、古書店のじーちゃんたちの座談カイの話(玉さんが……)が好みでした。
主人公の両親夫婦の雰囲気も素敵だなぁ、なんて思うけど……
とーちゃん、なに炒めてるんですかっ!?(注・150ページ最初のコマ)
にしてもこのテの、図書館や書店、書物や物語を題材にした作品の、作中の書店・図書館や本を集めてみると面白い。
やはり筆頭は、ボルヘスの「バベルの図書館」・「砂の本」だろうか?
なら山村浩二のアニメーション「バベルの本」も挙げとくべきか。
思い出すまま書き連ねると……
エーコの『薔薇の名前』の修道院の図書館
芳崎せいむの漫画『鞄図書館』
(漫画限定でいいなら、同じく芳崎せいむの『金魚屋古書店』)
〈成風堂書店事件メモ〉の成風堂書店
〈戦う司書〉の神立バントーラ図書館
(収蔵されている『本』は人の魂が結晶した、記憶を見ることができる石版だけど)
『ある日爆弾がおちてきて』収録の「トトかみじゃ」の図書室
『アラビアの夜の種族』の騙られ、語られる「災厄の本」
有川浩の『図書館戦争』は、作品よりむしろ実在する「図書館の自由に関する宣言」にジンと来る。
村上春樹『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』も図書館が舞台だっけ?(もうだいぶ記憶が……)
『たったひとつの冴えたやりかた』(中編集の方)の外枠部分の図書館の司書さんが素敵。
紀田順一郎『古本屋探偵の事件簿』はちょっと趣向と違うか?(でも出てくる書痴の生態等々はなんというか……)
漫画『本屋の森のあかり』はすこーし好みとズレていて、1巻しか読んでないけど続きはお薦めだろうか?
なんか、「これ」っていうのを忘れてるような気もするぞ。
図書館舞台の、お薦めされてまだ読めてない本もあるし、きっとまだまだたくさんある。
お気に入りってありますか?
『れんげ畑のまんなかで』今日書店で探したのですが見つかりませんでした。
取り寄せか、それとも暇を見て大きな書店かそれこそ図書館に行くべきですかね〜
ながつきさん
ミスカトニック……ヤなものに遭いそうです、そこに行くのはちょっと……
そのセンだと、セラエノの大図書館、なんてのもありますね〜
『バスラの図書館』話を聞いたことしかないですが、思い出すだけで目頭が熱くなります。
やはり作中の図書館といえば、ミスカトニック大学付属図書館(笑)
”図書館”というキーワードで思う本を3冊。ジャンル、バラバラ・・・。
ホラー方面から、スティーヴン・キング「図書館警察」”本の返却期日は守りましょう!”
文化人類学的方面から、ル・グィン「言の葉の樹」(図書館小説だとは思わない方もいるでしょうけど)
実話方面から、子供の絵本だけど、ジャネット・ウィンター「バスラの図書館員」リアル戦う図書館員。
「おさがしの本は」門井慶喜
「れんげ畑のまんなかで」森谷明子
なんかもあるよ